タカコのびっくりレポート

タカコが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート008号

10月5日(日曜日) 晴れ 気温31度

 若者たちが取ってきた魚は、子供たちが手伝ってカヌー小屋の前に集められます。子供たちもいろんな仕事に参加しながら、伝統を受け継いで行くのです=4日午前11時過ぎ、ウォレアイ島で。

 ウォレアイの生活になくてはならないもの、それは魚です。

 男たちは、毎日のように海に出て魚を取ります。魚と、陸で取れるイモ類が、生活を支える重要な食料だからです。

 イモは女たちが集めます。

 魚は男たちの仕事と決まっています。

 一日はこんなふうに進みます。

 男たちは朝、カヌー小屋に集まってきます。カヌー小屋は村ごとにあって、海岸沿いのヤシ林の中にあります。ヤシの葉でできた大きな屋根の下には、学校の教室がすっぽりはいるほどの空間があって、壁はなく吹き抜けになっています。

 中には全長10メートル近い大きなカヌーが置いてあります。

 カヌーは細長い船体で、横から腕木が二本伸びていて、その先に長さ4メートルもある前後をとがらせた太い木が付いています。

 この太い木はアウトリガーと呼ばれて、重りの役目をします。アウトリガーの反対側に帆を張り出すと細い船体は横倒しになりそうになります。それを押さえるのがこの大きな木なのです。

 船体は、赤や黄色の鮮やかな色に塗られています。真っ直ぐ前から見ると、鋭いV字型になっていて、船底から船縁までは1・5メートルほどもあります。

 島にあるパンの木は、高さ30メートル以上にも育つ大きな木です。このパンの木の太い幹から船体を削りだすのです。

 大きなカヌーはウォレアイ諸島の中のこのファララップ島に7台あります。

 このカヌーを収めた小屋が、男たちの生活の中心なのです。

 男たちには序列があって、一番尊敬されているおじいさんたち、中年のおとうさんたち、そして若者たちです。

 ふつう魚取りに行くのは、若者たちです。高校を出たくらい以降の20歳前後の若者たちが5、6人で、毎朝午前8時ごろには海に出て、11時過ぎに戻ってきます。

 漁をするのは、島々を取り巻くサンゴ礁から数キロ外に出た太平洋の上です。そこで疑似えさを使って長さ数メートルのさおで魚釣をします。

 マグロやカツオが釣れるのですが、実際の様子はまだ見ていないので、ぜひ連れていってもらえるように、お願いをしようと思っています。

 漁は2時間ほどで終わり、50匹から100匹を取って帰ってきます。

 カヌー小屋に戻ると、小学校に行く前の小さな子どもたちが待っていて、船の中から魚を運び出す手伝いをします。おとうさんたち、おじいさんたちは、若者がどれくらいの大きさの魚を何匹取って帰ってきたかを見て、いろいろ話をしています。

 若者たちには、4匹ほどの魚が分けられて、さっそくヤシの殻を燃やした上に金網をのせて焼いて食べます。

 おじいさんの一人が、やおら立ち上がって魚をじっと見渡してから、順番にいくつかの山に分け始めました。全部で12の山が出来ました。魚が8匹もある大きな山もあれば、4匹の小さな山もあります。

 村の12家族のそれぞれの家族構成に応じて、配分を決めているのです。

 「いっぱい取れれば、他の村にまで分けるんだよ」とおじいさんはいいます。

 島の外側にある一番良い漁場には、カヌーでしか行ってはいけない決まりがあります。船外機がついたボートで簡単に行くようになると魚が無くなってしまうのではないかという考えからできた決まりです。

 カヌーでは、ガソリンは必要ないので、現金を使う必要もありません。

 自然の中で育ったパンの木で船体を作り、風を受けて走るカヌーを使って、魚を取る生活は、まさに自然と一体になった暮らしなのです。

 報告/大前純一



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