タカコのびっくりレポート

タカコが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート017号

10月12日(日曜日)

 ヤシの木の全体です。てっぺんからは見事な葉が茂ります。葉の付け根にココナツが実ります。ヤシの葉の中央部に人が見えますか。トビーが木に上ってツーバを取る作業をしています。ファララップ島で

ヤシの木の話

 ここウォレアイでは、ヤシの木が生活のすべての場所で活躍しています。

 ヤシの木は、島のすべての場所に植えてあります。高さは20メートルにもなります。まっすぐな電柱のような幹が伸び、一番上に大きな葉が生えます。長さが時には5メートルにもなる大きな葉が何枚も広がり、風にゆらゆらとゆれています。

 葉の付け根部分に、ココナツの実がなります。ココナツは、ラグビーボールよりも大きくなります。ひと房に数個から10個ほどがかたまりとなって実ります。

 木になっているときは、初めは緑色ですが、茶色っぽくなり、やがて地面に落ちます。夜中、「ドーン、ガサガサ」という音がします。ココナツが風に吹かれて落ち、くさむらを転がるのです。

 重さが数キロもあるので、人に当たったら大変です。みんなヤシの木陰で休むときは上を見て、ココナツが落ちてこない場所かどうかを確かめます。

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 ココナツが一番大切にされるのは、貴重な水を提供してくれるからです。

 若い緑色の大きな実を、高い場所にまで上って切り落とします。柔らかい地面なら大丈夫ですが、固い場所だとひびが入ってすぐに中からジュースが流れてしまいます。そんな場所では、上からココヤシをロープにくくりつけてゆっくりと下に降ろすのです。

 さあ、ココヤシの分厚い皮を地元の人は大きなナイフで切り落とします。ラグビーボールのとがった先の方の皮を切り落とすと、中にある野球ボールより少し大きな殻(から)が出てきます。この殻は少し固いのですが、さらにナイフでそぎ落とすと、プシュッと中からジュースが吹き出します。

 透明で、少し甘味があります。ココヤシの中で守られてきたので、清潔で安全な水分なのです。カップに移すと、大きな実だと1リットル近くもある場合があります。

 内側の固い殻の内側を見ると、薄く白いゼリーのようなものがついています。スプーンですくって食べると、これもほんのり甘いお菓子のようです。栄養豊かです。地元では赤ちゃんの離乳食にもします。もちろんこどもたちも食べます。

 このココヤシが地面に落ちてそのまま時間がたつとどうなるでしょう。

 内側のジュースが少なくなり、代わりにゼリーの部分が分厚く、固くなってゆきます。外の皮がひからびたココヤシを割ると、水分はほとんどなくなって中には厚さ1センチほどの白い「コプラ」が出来ています。

 このコプラを特別な道具を使って粉のように小さく削ります。鉛筆削りで削った木のようになっています。日本のお菓子にのっているココナツの粉です。

 水に浸し、手にとってぎゅっとしぼると、白い液体が出ます。ココナツミルクです。これを使って魚や野菜を煮ます。甘くて濃い味わいになります。

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 コプラは料理に使うだけでなく、現金収入にもつながります。

 男たちが落ちているココヤシを何カ所かに集めて、中のコプラを取り出しています。乾き切ったココヤシを大きなナイフでたたき割り、コプラの部分に何本かの切り込みを入れると、ぱかっと半球状のコプラが取り出せます。

 このコプラを集めて太陽で数日乾かすと、からからのコプラになります。これを大きな麻袋につめて、時折回ってくる船に売るのです。1ポンドあたり18セントですから、一袋約50キロで二千円ほどでしょうか。大人が四人がかりで2時間作業をすると一袋分ほどになります。共同のヤシ林でみんなで作業をするとその収入は、みんなで使う船外機のガソリン代や魚取りの網を買うお金になります。

 このコプラは、まとめられて日本に輸出されるのだそうです。石けんなどの材料に使われます。そうです、「ヤシの実せっけん」なんてありますよね。

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 ヤシの実の分厚い皮は何に使われるでしょう。

 コプラを取った後の殻と皮は、日陰で乾かされて、料理の時の燃料に使われます。  皮を海に何週間もつけておくと、筋だけが残って、この筋(繊維)をより合わせてヤシロープができます。カヌーや家を作るときに、木をしばるのに必ずこのヤシロープを使います。魚取りの網をヤシロープで編むこともできます。

 外側の皮を使って、食器を洗うときのスポンジやタワシのように使うこともできます。

 内側の固い殻はコップとして使います。

 ヤシの葉は、屋根にも、座ったり眠ったりするときのマットにも、うちわにも、ものを運ぶバスケットにもなります。

 太い幹は、家の柱やカヌーのマストに使われます。

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 最後に、島でもっとも大切なヤシの木の利用方法をお伝えしましょう。

 ヤシの木のてっぺんに生える花があります。その花の新芽を途中で切って、そこから出る液(樹液)を、ヤシの内側の固い殻を使った器で受けとめます。毎日3回、切り口を鋭いナイフで切り取って、新しくしておきます。樹液が出やすくなるのです。器は一日に2度、中の液をびんに移して集めておきます。日本からのしょうゆなどが入っていた一升びんなどを使います。

 この液は甘酸っぱい味で、「スイート・ツーバ」と呼ばれます。

 液を受け取るヤシの殻の器を洗わないでいると、中の液はお酒になります。「ツーバ」と呼ばれます。お酒は男だけが飲みます。こどもや女たちはスイート・ツーバを飲みます。スイート・ツーバを清潔な大きなびんに保存しておくと酢になります。地元で取れるトウガラシをいくつか放り込んでおくと、とてもぴりっと辛い酢になり、サシミにつけて食べています。

 いったいいくつのものにヤシの木は利用されるのでしょうか。

 報告/大前純一



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