タカコのびっくりレポート

タカコが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート028号

10月19日(土曜日)

 「資源を管理するためのルール」

 以前、生徒たちが教えてくれた、資源を管理するためのルールは、大きく言うと

  1. プラスチックゴミや洗剤、オイルなどで海を汚染しないこと
  2. サンゴ礁をこわさないこと(魚が減るから)
のふたつでした。

 フランシスコさんに言わせると、1は新しいルールだそうです。昔はプラスチック やオイルなどがなかったので、そんなルールは必要ありませんでした。

 もう一つ新しいルールがあります。それはカニです。ヤシガニの数が激減したの で、それまでいつでも捕ってよかったのが、魚取りに出れない悪い風や天気の時だけ になりました。

 フランシスコさんはおもしろいことを教えてくれました。

 戦後しばらくは、ヤシガニはいたる所にいたそうです。ちょっとブッシュに入った り、日本人の防空壕の中にもざわざわいたそうです。それがまったくいなくなってし まったのは、なぜでしょう。

 たくさんいたのは、昔からのタブーをみなが守っていたからだそうです。

 ヤシガニは、生理中の女性やヤシロープにする繊維を取り出す仕事をした人たちだ けが食べてよかったそうです。それ以外の人が食べると、まじないがかけられて病気 になったりすると言われていました。タブーの一つだったのです。

 ところが、キリスト教が入ってきて、「まじないは罪だ」と教えられたそうです。 まじないがなくなり、クリスチャンは何をしても自由だと教えられ、人々はタブーを 守らなくなり、喜んでヤシガニをどんどん食べ始めました。その結果が、ヤシガニの 激減につながったということです。

 つまり、おきてやタブーは、一見「ばちがあたるぞ」とか「魚がやってこなくな る」などという「脅し」が先に浮かんできますが、根っこのところでは、何世代も先 までを考えた資源管理につながっていたのです。

 他にどんなタブーがあったのでしょう。フランシスコさんは教えてくれました。   次のことをした男たちは、それから四日間、漁に出てはならない。

  1. ヤシガニを食べた
  2. 野生のタロイモを食べた
  3. 池に入って、ヤシロープにする繊維を取りだした
次のことをしたら一日漁に出られない。
  1. 魚を食べた
  2. マーイという貯蔵用のパンノミを食べた
  3. ヤフースという果物やバナナを食べた
 生理中の女性は、ラグーンではなく海の魚(まぐろなど)を食べない。赤ん坊を生 んだ女性は、そのまま十日間、海辺の小屋で暮らすが、その間も海の魚は食べない。

 これらのタブーを守ると、海の神を呼んでたくさんの魚をラグーンに入れてもら う、というまじないの効果が出る、と言われていた。

 これらのタブーを守っている人はファララップにはほとんどいないそうです。
 「まじない」なんて信じない、個人は自由だ、という発想で、捨てられてしまった のでしょう。

 でもタブーをよく見てみると、どうも魚をたくさん食べ続けられないようにできて いることがわかります。またまた、資源管理です。捕り過ぎないように、自分たちで 規制するためのルールです。捕り過ぎないから、ラグーンにはいつもあふれんばかり の魚が入ってきたのでしょう。昔は、魚が本当にたくさんいた、とフランシスコさん は言います。

 八十年代までは、まぐろ、かつお、さばなどが、ラグーンにたくさん入ってきたの だそうです。今は、ほとんど入りません。

 昔からのタブーではないけれど、夜、漁に出ると、たくさん魚が捕れてしまうの で、やめることにしたそうです。本当に魚に飢えている人だけが、こっそり隠れて取 っているようだ、とフランシスコさんは笑います。

 他にも習慣として、パンノミの季節は主にパンノミを食べ、タロイモは食べないそ うです。パンノミを貯蔵できるようにした「マーイ」を食べ疲れたら、タロイモを食 べるそうです。タロイモは、収穫までに六、七年かかりいます。いつも好きなだけ食 べていたら、なくなってしまいます。ずっと食べ続けるための知恵です。

 フランシスコさんは、タブーが守られなくなってしまったことを残念に思うそうで す。

 「病院で薬をもらうと、あれを食べてはいけない、こんな生活をしろ、と言われ る。それもタブーでしょう。ヤシガニを食べたら、魚捕りに行ってはいけない、とい うのも同じだと思うんですがね」

タカコ



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