タカコのびっくりレポート

タカコが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート030号

10月20日(土曜日)

清く正しい親父の背中

集められたパンの実。鮮やかな緑色の皮の内側に、黄色い果肉が詰まっている。皮をむいて、蒸したり、煮たり、揚げたり、さまざまに料理される。

 ウォレアイのお父さんは頼もしい。火起こし、家作り、魚捕り、木登り、航海術など生きていくために必要なあらゆる能力に長けている。そのしなやかな筋肉は年をとっても衰えることを知らず、いつも威厳と自信に満ちあふれている。

 フェビアン(32歳)はぼくたちがお世話になっている家の大黒柱で4児のパパだ。このあいだそのフェビアンとパンノミを採りに行ってきた。パンノミは高さ20メートルくらいの木になっており、スライスしたものを油で揚げたり、ココナッツミルクと一緒に煮込んだりして食べると実においしい。いつも冗談を言っているフェビアンは一見すると三枚目なのだが、その日は実にかっこよかった。ロープを太いえだにかけたかと思うと、あっというまに見上げる高さまでするすると登り、長い棒の先にナイフをくくりつけたもので次々とパンノミを落としてくる。両手で抱えきれないほどのパンノミが採れるまで長い時間はかからなかった。

 ぼくもフェビアンが見守るなか、木登りに挑戦してみることにした。登るのはなんとかできたのだが、下りがなかなか難しい。登りは足で体重を支え、下りは手で体重を支えるのだ。ぼくはズルズルとずり落ち、ロープがふんどしにめりこむという無残な状態で救出された。フェビアンはやはりただの三枚目ではなかったのだ。ちなみに彼はボートに乗っていてエンジンが壊れ、四日間飲まず食わずで漂流したことがあるという。

 子どもは親父の背中を見て育つ。お父さんは自分の子どもに小さいころからナタをもたせ、火起こしの技術を教え、木の登り方を身をもってしめす。こんな強い父ちゃんを尊敬しない子どもはいないのだ。ここには仕事に忙しく子どもをかえりみない父親もいなければ、家のすみっこで所在なげにタバコをふかしているお父さんもいない。あるのは自分の体で子どもに生きていく知恵を教えられるたくましい親父の姿だ。お酒を飲むとヘベレケになるのは万国共通だけど。

 ぼくも背中で物を語れるお父さんになりたいな、うん。

ナオキ



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