タカコのびっくりレポート

タカコが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート032号

10月16日(木曜日)

島の北部にあるミドルスクール。来年度からは12年生までが在学するハイスクールになる予定。

 ウォレアイの島から一足先に帰ってきました。

 15日の水曜日に飛行機でウォレアイの島を飛び立ち、ヤップ島からはジェット機でグアムに入り、そこで夜を過ごして16日の木曜日昼に日本に戻りました。

 ずいぶん遠くです。

 現地を出てから、まるまる24時間かかってやっと戻ります。

 ニューヨークやロンドンでも、15時間もあればたどり着きます。日本のお隣の国というのに、ウォレアイの島は、はるかかなたにあるように思います。

 毎日ニワトリの鳴き声が午前3時15分にし、午後6時前に薄明るくなった中で人々は動き始めます。海岸に出て体を清める人、ヤシの木に登ってツーバを集める男たち、女たちは火を起こして朝食の用意をしています。

 6時半には日が上って、私たちも朝食のパンの実のフライをもらい、活動開始です。

 そんな日々から、飛行機を乗り継ぎながら段々と、「文明」を感じてゆきました。

 ウォレアイからの双発プロペラ機に乗ると、布張りのいすに座ります。いすというのは学校に固くて小さないすがあっただけで、日常生活では、まったく使いません。

 真っ白なサンゴのかけらが敷き詰められた庭に、ヤシの葉であんだマットをしいて座ります。 食事をするときも、おじいさんの話を聞くときも、子どもをあやすときも、みんなそうします。浜辺で休むときには、ヤシの木の根っこや倒れたヤシの木の幹に腰をかけます。

 そんな生活の中に、いすという存在はないのです。

 ヤップ島に着くと、自動車が走り回り、ジェット機が金属音を立てていました。足元がとても汚いことに気付きました。、みんながくつをはいてコンクリートの床の上を歩くので、足元は汚い存在になってしまうのです。

 ウォレアイは、はだしかサンダルです。島に3台ある車も静々と音もなく動くだけです。道はサンゴが砕けた砂で出来ていて、子どもたちははだしで歩いています。みんなが地面に接して歩くので、汚れはほとんど感じません。道が人のためにあって、うるさくも汚くもないのです。

*       *       *

 ジェット機に乗り換えてグアムに向かうときには、人がわさわさとしてくるのを感じました。多くの人が異なった目的、別々の理由で行動しているそのある一部分がたまたま飛行機の中で一緒になったりします。そうするとわがままが出てきます。

 「飲み物を何にしますか」と聞かれて、「ビール、冷えたのを」と頼んで、「じゃ別の」と注文をつけます。注文を付けられたほうも、仕事の一部として「はいはい」と別のビールを渡します。「おつまみないの」と日本の若者が大きな声で頼みました。見れば分かることです。配っていないのだから。でも決して上手ではない英語でたずねます。おねえさんは「ごめんなさい、この飛行機には積んでいないの」と返事をします。

 こんなやりとりは、島ではありませんでした。

 食べ物、飲み物は、全部自分たちで集めて、取って来るものです。だれかに注文を付け、それがないといって口だけ申し訳なさそうにするのは、これも「文明」ならではでしょう。

*       *       *

 日本の若者が元気を出して外国に行くのはいいと思うのですが、こんな感じでものごとをいうのは、みっともないことです。

 「びーいる」といって、日本語そのままに大声で注文するのは、昔はわがままなおじさんが外国でして日本の評判を落としたものです。まわりがどう見ているかも観察する力もないままに、お金の力で世界を歩いているつもりになられては困ります。

 きっとテレビの影響かもしれませんね。まったく別の国におじゃましているのに、自分の国の言葉で押し通そうとするのは。

 自分でその世界で生きる力をまだ得ていないのに、わがままにふるまうのは見苦しいことです。

 「わがまま」は、文明の一部かもしれませんね。自分の力でできないことを人に頼むようになる。その場では無理なことを、他人に頼む。そういう人は自然の中で、自然の恵みを受けて生きて行くことができるでしょうか。

報告/大前純一



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