特定非営利活動法人ECOPLUS
ワールドスクールネットワーク
2003年度国際研修フォーラム


ロビーニコルさんの講演内容(その3)

 今お話してきたことは、認識の多様性と呼ばれているものです。認識論というのは認識についての学問です。ですから、認識論的多様性というのは要するに知ることにはいろいろな形がある。そしてそれはみな大事だということなのです。私が今お話していた中にも4種類の知識が出てきました。体験的知識、表象的知識、命題的知識、そして実践的知識です。この認識論的多様性という考えが我々に示しているのは理論的な知識だけでは十分ではなく、他にも知識の形はあるということです。そして、直接何物かを体験することが学習者がもっと知りたい、そして、何か個人的な意味合いをそこに見出すということの基盤になるのです。

 また、この体験的学習にはほかにもいろんな側面があります。モチベーションの高い学習者というのは教師に頼るところが少なくなります。これは、学習者が学校を卒業し教師がいなくなったときには特に有効なことです。また、人は自分が積極的に何事かに参加しているときに最もよく学習するということも知られています。ここで、私たちは体験的学習の一番大切な部分に到達したわけです。

 人は個人的に何かに関与していると思う時に最も学習能力を発揮するということです。先ほど示した森ですけども、あれが知識としてそもそもは二酸化炭素と水であったところから炭水化物を生産しているということを知っています。しかし、その森が切り倒させる計画があるとし、私があそこに行って犬を散歩させたりしたいな。だから、あってほしいなと思うとき、この思いを科学的知識はなんら妨げるところはないわけです。

 あの森は私にとって個人的な意味をもっているからこそ私は何かの行動を取ろうと思うかもしれません。私が自然と結び付けられてると思う感情によって科学的な、そして命題的な知識からだけでなく動こうと思うわけです。ですから、持続可能性に関する教育というものがそもそも何であるのか理解しようとするならば、まず科学だけでは我々の問題は解決できないということを認めなくてはなりません。また、逆に何だか美しい所にいるから持続可能性の方向に向かって動いていきたくなるな、というそういう体験的知識だけから私たちが知りたいことが全部わかるわけでもありません。私が今日4つの知識の形を示したのは、これが知識の形というのがいかに多様であるかということを示すためです。でも、もちろん私たちは世界をこの4つの別々の形で認識してるわけではありませんよね。私たちはこの4つが統合された1つとなったときに世界を認識するわけです。

 では、サスティナビリティという方へ向かっていきましょう。サスティナビリティという概念は私たちに「環境」という言葉の意味を考え直すきっかけになりました。

 かつては、私の国では環境というのは大気、生物圏、水気圏、岩石圏というような自然環境をさす言葉と理解されていました。しかし、現在では、サスティナビリティについて語る国際的な文献の多くは環境という言葉はより広い意味を示しています。サスティナビリティは自然と文化とを同時に考慮するものなのです。これは、責任ある経済的行動に基づくものです。しかし、現在の世界的な経済状況は、責任ある構造にはなっていないと多くのひとはいっています。この地球の上には非常に貧しい人と非常に豊かな人とがるではないかと。現在のシステムというのは地球の資源をさらに劣化させ、貧富の格差をそのままにしたままずっと発展するという経済成長に基づくものです。

 持続可能性というのは地球の人々の間に資源を平等に分配することを目指すものでなくてはなりません。そのことをこの3本足の椅子で示したいと思います。(スライドへ)

この場合、もし足の1本が他より短かったり、欠けていたりしたら立っていられませんよね。これは非常に大雑把なモデルですけども、環境という語が今ではより大きな概念になってきたことを示すのには役に立つでしょう。ですから、サスティナビリティという言葉に関しては大きな議論がありますけれども、核は一貫しているわけです。持続可能性、それは他者への責任、次の世代の分配、現在の環境の質を維持していくこと。再生可能、不可能な資源の責任ある利用、そして、世界の資源の公平な分配を含むものです。(スライドへ)

 「環境」というものを、何か緑に関係するものと考えるところから自然環境と人間の関係について考えるところまでやってきたといえるでしょう。

 そこで、私の今日のテーマの中心である「つながり」という話に戻りたいと思います。教育の役割という問題に向かっていきましょう。教育的意味とは何かですが、まず最初に言っておかねばならないことは、教育の役割に関してはコンセンサスがないということです。唯一のコンセンサスはただそこにはまだまだ成されるべきことがある。それだけです。このようにコンセンサスが欠けてる理由はたとえば、気候変動、環境の変化といったことに関して科学者や政治家やメディアなどによっていろいろ議論されているという事情があります。ですから、最初は何を信じていいのか、誰を信じていいのかわからないいままになってしまうわけです。このことから次のように結論付けることもできるかもしれません。未来というものは常に不確かなものである。そのことを教育に関する戦略は常に考慮しておかねばならないということです。また、未来が不確かだからといってそういうことに関して何もしなくてもいいことにはならないということもです。そして、教育に関してとりあえずの暫定的な提言を行う価値はあるというコンセンサスは十分にあると思っています。また、そのような提案というものが文化的な違いや新たな研究、理論、理解などによって修正されるべきものだということもしっかり認識しておかねばなりません。

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