特定非営利活動法人ECOPLUS
ワールドスクールネットワーク
2003年度国際研修フォーラム


ロビーニコルさんの講演内容(その4)

 では、教育について基本的なことを話したいと思います。

(教育と持続可能性に関する基本的な原則)

  1. 持続可能性に関する学習は地域社会から始まり国や国際的な活動へと動いていかねばならない。
     先にお話したとおり、3本足の椅子というのを、地球的なレベルで調整していくことは個人にとっては難しすぎる仕事です。もしできたとしたも、それが賢明なことかどうかは疑わしいです。というのも現代文化の多くが消費主義や物質主義に走っているからです。この消費主義というものそのもを私たちが解決せねばならない問題を作り出しているということもできます。それは、私たちが作り出すゴミの量を見てもわかります。

     昨日、ここでは廃物を使ってクラフトワークをやろうというパネルディスカッションがありましたけれども、これは子供たちのゴミに関する心配を示していますよね。現代文化というのはまた、個人主義にも向かいがちです。人々に自分自身について自分が何が欲しいかを考えるように仕向ける。そういうものです。これが広告がやっていることです。テレビ、看板、インターネット。これは企業が人々に対して、もっとほしいだろう、何を欲しがっているんだ。というふうに問いかける手段なのです。何が欲しいかということで企業が製品を売ることができ、株主が幸せになりさえすれば何でもいいわけですし、個人主義というのは地域の中で地域のために活動することを極めて難しくしています。

     効果的であるためにはこの教育は個人と地域の中に位置させなくてはなりません。というのもそれ以上大きくなってしまうと、外部からの影響によって推進しようとしていることがが押しつぶされてしまうからです。これを草の根学習というふうに呼ぶ人もいます。

  2. 草の根学習はトップダウン型の教育の対極にあるものです。
     ひとたび、私たちが一方方向に動くトップダウン型のやり方を環境の危機的課題に関してとろうとすると何をすればいいのかわからなくなってしまいます。

     今日のテーマに関してガーデニングの例を挙げたいと思います。ガーデニングはいろいろなことへの注意が必要です。よい園芸家であるためにまず、そこで何が育ちうるかという土壌を理解しなければなりませんし、また、天候にも注意を払わなければなりません。いつ植物を植え、刈り取るか、季節のこともよく知っておかなければなりません。また、非常に小さな部分にも注意を払わなくてはなりません。その小さな部分があなたがそこにつながりをもっているがゆえに、重要な部分となるのです。そして、ガーデニングをすれば土地が直接あなたに食物を与えてくれますよね。ですから、あなたは食べ物の中に危険な化学物質がないこともわかりますし、肥料を使う時にも注意を払うでしょう。そして、このように庭の健康そのものがあなたの健康に影響するというこういうような状況こそ、つながりということの核なんです。

     もちろん、誰もがガーデニングができる庭を持っているわけではありませんけれども、これはたとえば、窓辺にプランターを置いたり、家の中に植物を置いたりすることからも始められます。ここで、考えねばならない必要なことはこれをさらに人類、そして、地球に広げて考えていくということです。そして、地球に私たちが重大な危害を加えればいずれ、私たち、またその次の世代が苦しむことはわかりきっているです。チェルノブイリの例が顕著な例でしょう。このような観点から物事を見てみますと、ガーデニングは持続可能性の1つの実践の仕方であるということがご理解いただけると思います。サスティナビリティの根本的な問題を提議をしてくれるといえるでしょう。

  3. 学びは学校や機関の中だけに囚われてはいけない。
     学校教育というのは社会のほんの一部としか関わりを持ちません。サスティナビリティを効果的に発揮するには社会全体と関わらなければなりません。私は学校はまったく意味のないものだと言っているのではありません。ですが、それ以外の部分に非常に多くの意味合いがあると言いたいのです、なぜなら、人々は社会にどのように対応をすればいいかという面において、自らの体験から学ぶことが多いからです。また、社会のほかの人たちがどういったことをしてきたかということを見て、学び取ることが多いのです。人々は、それぞれ異なるやり方で学びをします。学校というものは、生徒たちは学校を終えてから学びを続けることが大切だということを教える役割を持っているのです。

  4. 総合的な学習が重要であります。
     環境科学は、重要な教育戦略を構築する基礎ではなくなってしまいました。重要なのは社会科学、そして、環境科学を総合的に捉え、3本足の椅子で表現された問題に取り組むことです。従来の解決方法は椅子の1つを別個に見てきたことが問題でありました。たとえば、経済学者は環境や社会的なインパクト、影響を考えずに経済的な判断をしてきたということがあったことでしょう。世界の歴史を見てみますと貧困にあえぐ農民らは職を求め、都市部に向かっていきました。グローバルゼーションが大きな理由といえるでしょう。グローバルマーケットは彼らの産物を必要としないのです。しかし、都市部に出てみれば自分たちが持っている技がまったく役に立たない、専門的な労働市場に直面するだけです。

     ですので、このような全体的な問題に取り組むためには3本の足を相互的に考えなければなりません。つまり、足を1つ1つみるのではなく、椅子として捉えなければなりません。この全体的な問題を捉えようとするのであれば、グローバル経済などどいったより高いレベルの問題に取り組まなければなりませんが、最初の段階においてはより地域的なレベルでグループまた、個人として影響をを発揮すればいいと思います。様々なやり方で、異なるレベルで人々はこの問題に協力することができるわけです。事が大きすぎるといったことはあり得ないのです。

  5. 重要な関係者とパートナーシップを結ぶことも重要であります。
     人種、年齢、性別、また文化的属性、そして、経済的な状況といった要因を考慮に入れることは非常に重要であります。これらを考慮に入れた教育といったものは明確な目的、そして、戦略、さらには 責任あるリーダーシップを必要とします。

  6. 自分の影響力をなるべ広げていきましょう。
     政策立案に地域レベルで影響を及ぼさせたいといったことがあるかもしれません。体験型学習を含む多様性のある認識が反映されるように地域レベルで政索に関わる活動が大切であります。  

  7. 国際的な影響力を持つ仕組みを作りましょう。
     このワールドスクールネットワークはこの分野において一生懸命取り組んでいるようです。国際的な影響力は非常に重要であります。グローバル化された経済においてある国の人が他の国の人の生活を左右することはとても簡単になってしまいました。たとえば、スーパーでコーヒーの缶1缶を買う際にもそれが果たして生産した国の人の生活を援けているのか、また、損ねているのかということを考えることが非常に大切であります。  

  8. 専門的な知識を持たない人々でも複雑な課題と取り組める方法を作り出しましょう。
     持続可能性という言葉自体非常に難しく、議論に多い言葉であります。最も頭が明晰といわれる人にとっても非常に難しい問題であります。

     しかし、教育者としてはそれを、効果的に、また簡略しすぎない形で教える方法を考えなければなりません。これに非常に有効なのはアウトドア、野外で体験学習を行うということがいえるでしょう。複数の感覚を使って問題を知るのです。先ほど、私が申し上げましたが、自らの関わりに気がつけば学習する意欲は高まるはずです。

  9. 学術的な学習ではなく、職業訓練的な地域に根差した手法を目指す。
     これは、正規の教育以外での学習の可能性の拡大を意味するのです。もちろん、それは異なる時期に人々が学習できるとしたことがこの前提にあるわけですけども。

  10. 良い行動を広める。
     新聞、インターネットで、また学校やコミュニティで広げるのです。多くの人々は何もしないことに慣れてしまっています。何をし始めればいいのか、どのように行動を起こせばいいのかということがわからないのです。しかし、良い例をまとめることが重要であります。それを、そのようなことが学べる良い体験型学習アプローチの例として先ほどのガーデニングを挙げました。  

  11. 悲観的になってばかりはいられません。
     この分野で協力をしようと思えばいくらでもその機会をはあります。楽しみながらまた新たな満足感を得ながらもこの分野で協力することができます。この問題の重大さによって人々は意欲を失ってしまうことがあるかもしれません。しかし、野外で学習をすること、それは非常に有効だといえるでしょう。楽しみが中心になるからです。学ぶ機会があれば真剣に楽しみ、真剣に持続可能性の問題に取り組むことが可能なのです。

  12. 政治や集団活動の中での建設的な手法を探しましょう。
     相反する政治的な課題においてどのように取り組むかということです。相反する政治体制、例えば左寄り、右寄り、また民主的、保守的といった政治的な両極端があるかもしれません。しかし、このような見方をしますと、その中間にある問題を見過ごしてしまうことがあるわけです。

     重要なのは両極端の間にある部分です。つまり、自分が何を反対しているのかということよりも、自分の主張は一体何なのかということを考える必要があるのです。このような、両極端な立場を取ることによって問題の取り組みを阻む可能性があります。  

  13. より実験的なアプローチを教育において取っていこう。
     まるで、将来を見通しているかのように、教育の管理者はカリキュラムを立てる傾向にあります。しかし、教育によってどのような答えが提示されているかというよりも、どのような課題が提示されているかといった観点において教育の質の評価をしなければならないと思います。これは答えが重要でないといっていることではありません。それよりも、サスティナビリティとは、我々の計り知れない問題を我々に提示していますし、その答えは誰もわかりません。世界の変化において教育が追いついていないことが現状としてあるのです。ですので、教育はまだ追いつく余地が十分にあります。そして、私がここで言っている体験型と実験的なアプローチというのははっきりした違いがありまして、この体験型の学習といいますのは、すでに行われた方法を体験することによって学ぶこと。その一方で実験的な教育というのはまったく例のないやり方で学習を試みるということです。これは学習機関の枠組みからまったく離れたやり方であります。  

  14. 継続させること。
     ご存知かと思いますが、成功しているプロジェクトでも失敗し始めているものがあります。変革を推進するキーパーソンがいるときなどによくみられます。問題はキーパーソンが去った際にプロジェクトやアイデアがいかに継続できるか。答えは理論的にはシンプルですが、実際にはそれらを維持するには難しいものがあります。

     解決策としてはなるべ多くの利害関係者を関与させすることです。学校を例としてお話してみましょう。そのプロジェクトが1人の教師に依存するものではないと確認するには、他の人を関与させることです。例えば、1人の教師が他の人を巻き込み生徒は学校で委員会を作り、そこでプロジェクトの発展や維持のための情報を得ることができるでしょう。例えば、庭を作る計画では生徒の両親でガーデニングに興味のある人がその計画に関わってくることになるでしょう。庭を作る計画には資金が必要になり、生徒の委員会は仲間に募金を依頼するでしょう。課題は学校のコミュニティー全体を関与させることです。それによって全員がそのプロジェクトに利害関係を持つようになります。

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