知恵だより 120号

Jan. 10 2000

都市のリサイクルの知恵

出発点の北海道から1630km来ました。東京都の境界線に立った舟渡小学校の児童たち=東京都と埼玉県の境目戸田橋

2000年1月10日 気温:6度 天気:雨のち曇り 風向き:東
出発地:埼玉県浦和市南浦和=北緯35度50分05秒/東経139度39分25秒
到着地:東京都板橋区=北緯35度46分09秒/東経139度41分20秒
歩いた距離:14km

  いよいよ東京に入りました。東京と埼玉県との境の荒川にかかる戸田橋を渡る時には、僕に会うために4キロも走ってきてくれたという南浦和中学のジョギング一家のみなさんや、舟渡小学校の6人、それに、WSNのボランティアの2人が一緒に歩いてくれました。時計は午前11時10分をさしていました。とうとう都内に入ったという思いを胸に、舟渡小学校の生徒たちと一緒に、都市にある「知恵」を探しました。

 南に東京を見渡すことができます。連続する迷路のようなビルの群れが見えます。足の下を流れている荒川のほかは、都市の風景がぐるっと四方八方に、どこまでも果てしなく広がっています。戸田橋を渡り切ると東京の始まりです。幸いなことに、何人かの子どもたちが一緒にいてくれて、大都市での「知恵めぐり」を支えてくれます。

 「知恵だより115」で報告したような、都会での「知恵めぐり」の難しさを説明したところ、舟渡小学校のみんなが助けてくれることになったのです。僕はこれまで、行き当たりばったりでやってきましたが、板橋区にずっと住んできた舟渡小学校のみんなは、別の出発点から始めようとしました。「どこか、わたしたちが知っているところへ行ってみよう」と一人が発言すると、「まず学校でみんなに聞いてみよう」と、もう一人が言いました。

 早速6年生3人と学校へ向かったのですが、その途中みんなが突然足を止めました。小さな三輪のスクーターが停まっていました。それは、牛乳ビンの回収用のスクーターだったのです。「これが都会の知恵だ」と、一人が自信いぱいに言いました。ある乳製品を扱っている会社の前には、同じようなスクーターが何台もとめてありました。「リサイクルだ!牛乳ビンをリサイクルしてるんだ」。子どもたちにとってリサイクルが「知恵」の一つだと言い切るのはたやすいことだと思い、なぜそう思うのか聞いてみました。

リサイクルされるガラスの牛乳ビンにさっそく注目した舟渡小学校のみんな=東京都板橋区舟渡近辺

 「東京は、1200万人もの人が住んでいる大きな都会です。リサイクルしないでゴミをぽいぽいを捨てていたら、捨てる場所がなくなる。住むところもなくなってしまい、生きていけなくなってしまいます。私たちは、地球のためにリサイクルをするんだと思います」と女の子の一人が言いました。それを聞いて、今度は下級生の 4年生の子が、静かに、でも上級生たちに向かってがんばって発言しました。「みんなが地球のためと思っているとは限りません。義務だと思ってやっている人も大勢いると思います」。こうしてみんなは、リサイクルの持つ本当の価値というものを考え始めたように思います。

 人口1200万人、世界有数の巨大な消費都市である東京にとって、リサイクルが重要であるのは確かです。舟渡小学校の生徒たちと一緒に街のなかを進みながら、栃木県や埼玉県に比べて、東京にはゴミが少ないのに気づきました。日本、ことに東京は土地が狭いうえに消費の多いところです。なのでゴミ処理では世界で最も深刻な状況にあるはずです。でも今朝、東京に入って気が付きましたが、街には、ゴミがないのです。ゴミがうまく回収され、処理されている証拠なのですが、同時に、ゴミは一体どこへ行ってしまったのだろうかと不思議に思いました。そこで僕は「リサイクルで、ゴミがみんななくなってしまうのだろうか」と子どもたちに質問してみました。

 あるお母さんに話を聞いた後で、子どもたちと階段に腰を下ろして食事をしました。リサイクル以外にゴミ問題を解決する知恵を考えました。「お弁当のような容器にはいったものを買わないようにすればゴミを減らせると思います」と、お弁当を買った仲間を見ながら女の子の一人が言いました。「本当に要るものだけを買うようにする」「ゴミになってしまうようなものを買わない」「できるだけ買うのを少なくする」など、ゴミ問題解決に役立ついい考えがいろいろと出されました。

 板橋区内を歩いているあいだに、みんなはリサイクルは都市の知恵だということに確信を持つようになりました。牛乳ビンのリサイクルのために活躍しているスクーターの他にも、リサイクルのためのいろいろな努力が払われているの見つけました。例えば、コンビニの前に置いてあるゴミ箱が分別しやすいようにうまくデザインされていることに子どもたちは気付きました。また、宣伝用の幕が、プラスティックを再生して作ったものだということを、偶然見つけて知りました。リサイクルだけでゴミ問題が全て解決できるものではありませんが、生徒たちは、リサイクルが重要な一部であることにみんなは気づいたのです。

 舟渡小学校の児童たちはリサイクルのほかに、街にもっと木を植えること、クルマの代わりに電車や自転車を利用すること、都市の中にもっと地域に密着したコミュニティーを作ること、などを話してくれました。いずれ素晴しい「知恵」だと思います。

 いよいよゴールの日本橋まで残り12キロ地点まで来ました。残りの数日を活かして、都市にあるはずの「知恵」を探して精一杯頑張るつもりです。

 みなさん、アパートやオフィスビルの下に隠れている都市の「知恵」をどうやって探したらいいか、いいアイデアがあったら教えてください。それと「ゴミ問題」についての君たちの意見を、ぜひ聞かせてください。

 ゴールまであと12キロ。

 グレッグ

 (翻訳: 畝本紀子)

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